2010年4月28日水曜日

勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求む

気が向いたので孫子の一節を。

古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。故に、善く戦う者の勝つや、知名なく勇功なし。

故に、その戦い勝ちてたがわず。たがわざるは、その措く所、必ず勝つ。
すでに敗るる者に勝てばなり。
この故に、勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む。
(軍形篇)
 
非常に簡単に言うと
『上手に戦いをする人は勝ちやすい状況を作り、勝ちやすい相手と戦う。だから、立派な働きをしているように見えないのに戦えば勝つ。それは既に負けが決まったような相手と戦うからだ』
という程度の意味です。
 
孫子は格調高い、まとまった文章が特徴であることが知られているので、状況を置き換えた文章を並べた本がずいぶんと出回っています。
なので、単純な置き換えではなく、実際の現場に即した書き方を試してみたいと思います。
 
『デスマーチと無縁に見えるプロジェクトリーダーは、要件と期間から”自分たちが”出来るかどうかを判断して出来る案件を優先的に請けるし、難しい案件でも条件を交渉して出来るように持っていく。
そのうえで予定通りに作業を進められるように準備・管理を行うので、大して仕事をしていないように見えるのに予定の期間と費用で仕事が終わっている。』
 
実際にはそんな案件ばかり請けることは難しいのですが、以下の循環に入る企業が多く見られます。
 
 案件(仕事の受注)や単価(売り上げ)が減って経営が厳しい
  ↓
 少しでも売り上げがほしいのでどんな案件でも請ける気持ちになってしまう
  ↓
 明らかに厳しい案件だが請けてしまう
  ↓
 プロジェクト炎上&デスマーチ発生
  ↓
 若手や中堅から戦線離脱&熟練者を含めたメンバーの退職を誘発
  ↓
 作業効率の低下
  ↓
 顧客からの評価が低下して案件や単価が減る
  ↓
 以下、エンドレス
 
この悪循環に近いことをしている企業を見たことがありますが、そこでは中途採用を積極的に行ってカバーしている様子でした。(4月に入社した新人十数名全員が翌年2月までに退職したと聞きましたが^^;)
明らかに「敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む」状態ですね。
 
悪循環からの脱出方法は正直書くことができません。しかし、悪循環に陥らないようにとは言えますので、自分たちに出来そうにもない(作業量的に、です。技術や知識は補えることが多いので)仕事は請けないようにしましょう、としか言えないのです。孫子が生きていたとしても同様でしょう。
 



=孫子=
 兵法書と言えばこの名前が出てくるくらいに有名ですが、孫子と言われた人物は2名います。
一人が孫武、もう一人が孫武の子孫と言われる孫臏(ソンピンと読むらしいです。字はWebで表示できない文字なので近いものを当てています)
 研究では孫子の兵法書は孫武の著作であることが確からしいのですが、現存するものの原本は三国志で有名な魏の曹操がまとめた「魏武注孫子」である時点で何が原本なのか謎であると言えます。
 内容は確かなので問題ないのですけどね^^

=デスマーチ(death march)=
 過酷な状況にある労働環境を、特にソフトウェア産業における過酷な状況にあるプロジェクトを指す。死の行進、死の行軍等とも言う。(Wikipediaより)
 デスマーチ(死の三月)とは、年度末に受注した仕事の際に、「どれだけ多くのプログラムコードを書き込んで組み上げ、それをきちんと動作させられるか」を競う作業様式である。一般には年度末=三月の恒例行事であるためにこのように呼ばれる。なおこれを競技(エクストリームスポーツ)として見なす場合も多い。 (アンサイクロペディアより)

 詳細を知りたい方は、Googleで「デスマーチ」と打ち込み、お好きなほうを検索してください。

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